短いバージョンの「虹の戦士」のお話は、
北山耕平さんの「あとがきにかえて」の一部として本に載っています。
ここでは、3番目の部分をご紹介します。
「姿を消しはじめるのは、動物ばかりではないぞ。
大きな木たちもまた消えてゆく。
人びとは互いの争うことばかりで、
愛し合うこともなくなるだろう。
空にかかっていた美しい虹も色あせ、
人びとはもう虹を目にすることもなくなるだろう。」
このお話が語られていた、ずっと昔の子供たちにとっては、
自分のまわりから、動物がいなくなるなんて、信じられなかったことだろう。
しかし、今の時代に生きる子供たちは、生まれた時から、動物を見ることがない。
そして、大きな木たちと、心通わせる経験もできない環境に生まれている。
それが普通という、錯覚の世界に生きている。
自然から隔離され、親と密着した空間で、頭脳だけが先行して発達していく。
そして、他者との争いに勝つための技術を身に付けていくことに
一生懸命になってしまう。
大人たちは、どのように愛し合うことを子供に伝えることが出来るだろうか。
自然の動物を愛する環境もない。
自然の花や木を愛することもできない。
そして、他者との競争の中、他者を愛することと、自分が競争に勝つこととの
葛藤に押しつぶされてしまっているように感じる。
こんな環境の中でも、愛を実践している子供たちがいることに、最近気が付いた。
環境に影響されず、他者に影響されず、自分の心だけに素直になれる子供達が、
空に虹を架けてくれるように感じている。
私たち大人は、心から信じてあげよう。
その子供たちの夢が現実になりますように。
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